高齢者の口腔機能低下症とは?診断と専門的な評価を知ろう

「最近、食べ物が噛みにくくなった」
「以前より飲み込みに時間がかかるようになった」

このような変化を感じたことはありませんか?
年齢を重ねると、歯や舌、唇などの働きに変化が生じ、食事や会話に影響する場合があります。
こうした口の機能の低下を医学的に評価する際に用いられる診断名の一つが「口腔機能低下症」です。
口腔機能低下症は、単に歯の本数が減ることではなく、口の中のさまざまな機能が複合的に低下した状態を指します。
今回は、口腔機能低下症の特徴と、歯科医院で行われる評価、早期に対応することの大切さについて考えていきます。

1. 口腔機能低下症とはどのような状態?

口腔機能低下症とは、加齢や病気などの影響によって、口の複数の機能が低下した状態です。
例えば、口の中が乾燥したり、食べ物を噛む力が弱くなったり、舌や唇の動きが低下したりすることがあります。
また、食べ物を口の中でまとめにくくなったり、飲み込みにくさを感じたりする場合もあります。
こうした変化が重なると、食事の内容が偏ったり、必要な栄養を十分に摂取できなくなったりする可能性があります。
口腔機能低下症は、口の衰えに早く気づくための「オーラルフレイル」と関連する概念ですが、同じ意味ではありません。
オーラルフレイルが口の小さな衰えを広く捉える考え方であるのに対し、口腔機能低下症は、歯科医療の中で検査結果に基づいて診断される状態です。
口腔機能低下症は、口の複数の働きが低下した状態であり、専門的な検査によって評価されます。

2. 口腔機能低下症ではどのような検査をする?

口腔機能低下症の評価では、口の働きを複数の項目から確認します。
日本の歯科医療では、一般的に次の7つの項目が評価対象とされています。

口腔衛生状態不良: 舌の汚れなどから、口の中の衛生状態を確認します。
口腔乾燥: 舌の湿り具合などから、口の乾燥状態を調べます。
咬合力低下: 歯の本数や噛む力などを評価します。
舌口唇運動機能低下: 「パ・タ・カ」などを繰り返し発音し、舌や唇の動きを確認します。
低舌圧: 専用の機器を使用して、舌が押す力を測定します。
咀嚼機能低下: 検査用の食品などを使用し、食べ物を噛む能力を評価します。
嚥下機能低下: 質問票などを用いて、飲み込みの状態を確認します。

これらの検査を組み合わせることで、口のどの機能が低下しているのかを把握します。
診断には所定の基準があり、一般的には7項目のうち3項目以上が基準に該当する場合に、口腔機能低下症と診断されます。
ただし、検査方法や診断基準は今後見直される可能性があるため、実際の診断は歯科医師によって行われます。
口腔機能低下症は、噛む力や舌の動き、飲み込む力などを複数の検査で確認することが特徴です。

3. 口腔機能低下症を放置するとどうなる?

口の機能が低下した状態が続くと、食事や会話などの日常生活に影響する場合があります。
例えば、噛む力が弱くなると、肉や野菜などの食品を避けるようになり、食事の種類が減ることがあります。
また、舌の働きが低下すると、食べ物を口の中でまとめたり、喉へ送り込んだりすることが難しくなる場合があります。
その結果、食事量が減り、低栄養につながる可能性があります。 さらに、飲み込む機能が低下すると、食事中のむせや誤嚥などの問題が生じることもあります。
ただし、口腔機能低下症と診断された人が、必ず低栄養や誤嚥性肺炎になるわけではありません。
口の機能の変化を早期に把握し、適切な対応を行うことが重要です。
口腔機能低下症は、食事や栄養状態、生活の質に影響する可能性があるため、早期の評価と対応が大切です。

4. 口腔機能低下症にはどのように対応する?

口腔機能低下症への対応は、低下している機能やその原因によって異なります。
例えば、歯を失って噛む力が低下している場合には、入れ歯などによって噛む機能を補うことが検討されます。
また、口の乾燥が強い場合には、服用している薬や全身の病気などを確認し、原因に応じた対応を行います。
舌や唇の動きが低下している場合には、専門職の評価に基づいて、適切な口腔機能訓練が行われることもあります。
さらに、食事量が減っている場合には、栄養状態を確認し、食事内容や食べやすさを調整することが重要です。
飲み込みに問題がある場合には、歯科医師や医師、言語聴覚士などによる専門的な評価が必要になることがあります。
なお、急に飲み込みにくくなったり、ろれつが回らなくなったりした場合には、脳卒中などの可能性もあるため、速やかな医療対応が必要です。
口腔機能低下症への対応では、低下している機能とその原因を確認し、一人ひとりに合った支援を行うことが重要です。

IKIRU+の結論

口腔機能低下症は、噛む、飲み込む、舌や唇を動かすといった口の複数の機能が低下した状態です。
歯科医院では、口の衛生状態や乾燥、噛む力、舌の働きなどを専門的に評価することができます。
こうした機能の低下は、食事や栄養状態、日常生活に影響する可能性があります。
大切なのは、口の衰えを単に年齢のせいと考えず、早い段階で変化に気づき、必要な評価や対応につなげることです。
これからも食事や会話を楽しみ続けられるように、歯の健康だけでなく、口全体の機能にも目を向けていきましょう。