脂質は体に必要?|「脂肪=悪い」ではない大切な役割

「脂質は太るから、できるだけ控えたほうがいい」
「油を使わない食事のほうが健康的」

そんなイメージを持っている人もいるかもしれません。
確かに、脂質は摂りすぎればエネルギー過剰につながることがあります。
しかし、脂質は単なる「太る原因」ではありません。
脂質は5大栄養素の一つで、エネルギー源になるだけでなく、細胞膜の構成成分になったり、脂溶性ビタミンの吸収に関わったりする重要な栄養素です。
今回は、脂質が体の中でどのような役割を果たしているのかを見ていきましょう。


脂質は5大栄養素の一つ

5大栄養素は、炭水化物・脂質・たんぱく質・ビタミン・ミネラルの5つです。
脂質は、油だけに含まれているわけではありません。

例えば、

  • 肉
  • 魚
  • 卵
  • 牛乳・乳製品
  • ナッツ類
  • ごま
  • アボカド

など、さまざまな食品に含まれています。
普段の食生活では、目に見える油だけでなく、食品そのものに含まれる脂質も摂取しています。


脂質は効率のよいエネルギー源

脂質の大きな役割の一つが、エネルギー源になることです。
脂質は1gあたり約9kcalのエネルギーを生み出します。
炭水化物とたんぱく質は、それぞれ1gあたり約4kcalです。
つまり、同じ重量で比較すると、脂質は炭水化物やたんぱく質の2倍以上のエネルギーを持っています。
少ない量で多くのエネルギーを確保できるという特徴がある一方、摂取量が多くなるとエネルギー過剰にもなりやすいため、適量を考えることが大切です。


体脂肪にも役割がある

「体脂肪=不要なもの」と思われがちですが、体脂肪にも役割があります。
脂肪組織にはエネルギーを蓄える働きがあります。
食事から得たエネルギーをすぐにすべて使わない場合、体はエネルギーを蓄えて、必要なときに利用できるようにしています。
また、皮下脂肪には体温を保つことや、外部からの衝撃から体を守ることなどにも関係します。
もちろん体脂肪が過剰に蓄積すると健康上の問題につながることがあります。
しかし、脂肪そのものが不要なのではなく、適切な量を保つことが重要なのです。


細胞をつくる材料にもなる

私たちの体は、非常に多くの細胞からできています。
そして細胞を包んでいる細胞膜には、リン脂質やコレステロールなどの脂質が含まれています。
つまり脂質は、単なるエネルギーの貯蔵庫ではなく、私たちの体そのものを構成する材料の一つでもあります。
さらに、コレステロールは一部のホルモンや胆汁酸などをつくる材料としても利用されています。
「脂質」「コレステロール」という言葉だけで悪いものと判断しないことが大切です。


ビタミンの吸収にも脂質が必要

ビタミンには、水に溶けやすいものと脂に溶けやすいものがあります。
脂に溶けやすいものを脂溶性ビタミンといい、ビタミンA・D・E・Kが該当します。
これらのビタミンが消化管から吸収されるためには、食事中の脂質が関係しています。
そのため、脂質を極端に避ける食生活が必ずしも健康的とは限りません。
さまざまな栄養素は独立して働いているのではなく、互いに関係しながら利用されています。


「脂肪酸」にもいろいろな種類がある

脂質を考えるうえで知っておきたいのが脂肪酸です。
脂肪酸にはさまざまな種類があり、大きく、

飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸

などに分けられます。

さらに不飽和脂肪酸にも、オレイン酸やn-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸などがあります。
肉類や乳製品、魚、植物油、ナッツなどでは、含まれている脂肪酸の構成が異なります。
そのため、脂質について考えるときは、「脂質を食べるか、食べないか」だけではなく、「どのような食品から脂質を摂っているか」という視点も重要になります。


魚の脂も「脂質」

魚、特に青魚などには、EPAやDHAと呼ばれるn-3系脂肪酸が含まれています。
一方、肉類や乳製品などにも脂質が含まれています。
同じ「脂質」という名前でも、その中身は同じではありません。
だからこそ、「脂質だから避ける」という考え方ではなく、さまざまな食品を組み合わせながら、脂質の量と種類の両方を考えることが大切です。


脂質を摂りすぎるとどうなる?

脂質は1gあたり約9kcalと、エネルギー密度の高い栄養素です。
そのため、脂質を多く含む食品を大量に摂取し、エネルギー摂取量が消費量を継続的に上回れば、体重増加につながる可能性があります。
また、脂肪酸の種類や摂取量は、血中脂質や循環器疾患などとの関連からも研究されています。
ただし、「脂質を摂る=太る」と単純に考えることはできません。
体重や健康状態には、食事全体、運動、睡眠など、さまざまな要因が関係しています。


脂質を極端に減らせば健康になる?

脂質の摂りすぎに注意することと、脂質をできるだけ食べないことは同じではありません。
脂質には、

エネルギー源になる
細胞膜などの材料になる
脂溶性ビタミンの吸収に関わる
ホルモンなどの材料になる

といった役割があります。

そのため、「脂質=悪いものだからゼロに近づける」という考え方は適切ではありません。
大切なのは、食事全体の中で適切に摂ることです。


「低脂肪」と書いてあれば健康的?

食品には「低脂肪」「脂質○%オフ」などと表示されているものがあります。
こうした商品が目的に合う場合もありますが、「低脂肪=必ず健康的」とは限りません。
食品を選ぶときには脂質だけを見るのではなく、

  • エネルギー
  • 糖質
  • たんぱく質
  • 食塩相当量
  • その他の栄養成分
  • どのくらいの量を食べるか

など、食品や食事全体を見ることが大切です。
一つの表示だけで食品の良し悪しを決めないようにしましょう。


大切なのは「量」と「種類」

脂質について考えるとき、「脂質は健康に悪いのか?」という問いだけでは、十分ではありません。

むしろ、

どのくらい摂っているのか?
どのような食品から摂っているのか?
食事全体のバランスはどうか?

と考えることが大切です。
油を完全に避ける必要もなければ、特定の油を大量に摂れば健康になるわけでもありません。
一つの栄養素だけを見るのではなく、食生活全体を見るという考え方は、脂質についても同じです。


まとめ

脂質は、5大栄養素の一つです。
1gあたり約9kcalのエネルギーを持つ効率のよいエネルギー源であるだけでなく、細胞膜などの材料になり、脂溶性ビタミンの吸収にも関係しています。
脂質にはさまざまな種類があり、どのような食品から摂るかも重要です。
「脂質=太る=悪い」と単純に考えるのではなく、その役割を知ったうえで量や種類、食事全体のバランスを考える。
それが、脂質と上手に付き合うための基本です。