保存料は何のために使われる?|食品を長持ちさせる仕組みと上手な付き合い方

食品の表示を見て、「保存料」という文字があると、少し気になる人もいるかもしれません。
「保存料はできるだけ避けたほうがいい?」
「保存料不使用の商品を選んだほうが健康的?」
こうした疑問を持つのは自然なことです。
先に結論をお伝えすると、保存料が使われているという理由だけで、その食品を避ける必要はありません。
保存料には、食品中の微生物の増殖を抑え、食品を安全に保存しやすくするという役割があります。
一方で、保存料が入っているからといって、保存方法を気にしなくてよいわけでもありません。
今回は、保存料の役割を知ったうえで、私たちは実際にどう食品を選び、どう保存すればよいのかまで考えていきます。
保存料とは?
保存料は、食品添加物の一つです。
主な目的は、細菌、カビ、酵母などの微生物の増殖を抑え、食品の保存性を高めることです。
食品には水分や栄養分が含まれているため、条件がそろうと微生物が増殖します。
その結果、
- 食品が腐敗する
- カビが生える
- 味やにおいが変化する
- 品質が低下する
といったことが起こります。
保存料は、このような変化を起こす微生物の増殖を抑えるために使用されています。
なぜ食品を長持ちさせる必要があるの?
「作ったらすぐ食べれば、保存料はいらないのでは?」と思うかもしれません。
しかし、現在の食品は、
工場で製造する
↓
物流センターへ運ぶ
↓
スーパーやコンビニへ運ぶ
↓
店頭に並ぶ
↓
家庭で保存する
というように、製造されてから食べられるまでに時間がかかる場合があります。
その間も、食品の安全性や品質を保たなければなりません。
食品によっては、保存料を利用することがその方法の一つになります。
保存料は食品を「腐らなくする薬」ではない
保存料が入っていれば、「ずっと腐らない」わけではありません。
保存料は、主に微生物の増殖を抑えるために使われます。
そのため、保存料を使用した食品にも、消費期限・賞味期限や保存方法があります。
「保存料入りだから常温に置いても大丈夫」と考えるのは間違いです。
「要冷蔵」と書かれていれば、保存料の有無にかかわらず冷蔵する必要があります。
代表的な保存料にはどんなものがある?
日本で食品に使用されている保存料には、さまざまな種類があります。
ソルビン酸・ソルビン酸カリウム
カビや酵母などの増殖を抑える目的で使用される保存料です。
食品によって使用できる条件などが定められています。
安息香酸・安息香酸ナトリウム
一部の食品や飲料などで、微生物の増殖を抑えるために使用されます。
プロピオン酸・プロピオン酸塩
一部の食品で、カビなどの増殖を抑える目的で使用されます。
このほかにも保存目的で利用される添加物があります。
重要なのは、食品メーカーが好きな保存料を好きな量だけ入れられるわけではないということです。
食品添加物については、使用できる食品や使用量などの基準が設けられているものがあります。
保存料の安全性はどう考えればいい?
「保存料は微生物を抑えるものなのだから、人間の体にも悪いのでは?」という疑問もあるでしょう。
ここで重要なのが、これまでの記事でも紹介した「量」という考え方です。
物質の安全性は、「その物質が入っているか、入っていないか」だけでは判断できません。
どのような物質を、どのくらい摂取するのかが重要です。
食品添加物については安全性が評価され、必要に応じて使用基準などが設定されています。
そのため、通常の食品から摂取する保存料について、「保存料だから危険」と考えて一律に避ける必要はありません。
「保存料不使用」のほうが安全なの?
ここは特に誤解しやすいところです。
「保存料不使用=保存料を使った食品より安全」ではありません。
保存料を使用しなくても、
- 冷蔵
- 冷凍
- 加熱殺菌
- 乾燥
- 密封
- pHの調整
- 衛生的な製造環境
などによって食品を保存することができます。
つまり、「保存料不使用」の商品では、別の方法によって保存性を確保している場合があります。
保存料を使用している食品にも、使用していない食品にも、それぞれ適切な保存方法があります。
保存料を使わないことにも注意点がある
保存料を使わなければ、必ず食品が危険になるわけではありません。
現代では包装や冷蔵、製造技術などが進歩しているため、保存料を使わずに保存できる食品も数多くあります。
ただし、「添加物を使わないこと」そのものが食品安全の目的ではありません。
重要なのは、食品が安全に食べられる状態に保たれていることです。
保存料を減らすことで保存できる期間が短くなるのであれば、温度管理や消費期限などをより適切に守る必要があります。
昔の食品は保存料を使わなくても大丈夫だった?
現在のような食品添加物が普及する以前から、人間は食品を長く保存するためにさまざまな工夫をしてきました。
例えば、
塩漬け
砂糖漬け
乾燥
燻製
酢漬け
発酵
などです。
冷蔵庫がなかった時代には、こうした方法が重要な保存技術でした。
つまり、食品を保存するための工夫そのものは、決して現代になって始まったものではありません。
「昔ながらの保存方法なら健康的」とも限らない
ここでも注意したいことがあります。
例えば、塩を多く使えば保存性を高められる場合があります。
しかし、食塩を摂りすぎる食生活は健康上望ましくありません。
砂糖を多く使って保存性を高める食品もあります。
つまり、
「食品添加物を使っていない=健康的」
とは限らないのです。
食品添加物の有無だけではなく、食塩、糖類、脂質なども含めて食品全体を見ることが大切です。
保存料は食品ロスにも関係する
保存期間を延ばせることには、もう一つの意味があります。
食品が傷むまでの期間が短ければ、
売れる前に廃棄される
家庭で食べきれずに捨てられる
といったことが増える可能性があります。
食品の保存性を高めることは、食品ロスを減らすことにもつながる場合があります。
保存料には、単にメーカーの都合で食品を長持ちさせるだけではなく、流通や食品廃棄にも関係する側面があります。
保存料が入っている食品は毎日食べてもいい?
ここで多くの人が知りたいのは、「結局、保存料が入っている食品を普通に食べてもいいの?」ということでしょう。
基本的には、保存料が使用されているという理由だけで、その食品を避ける必要はありません。
ただし、食品選びでは保存料だけを見るのではなく、食品全体を見ることが重要です。
例えば、ハムやソーセージなどの加工肉を毎日大量に食べている場合、「保存料が入っているか」だけに注目するのではなく、食べる量や頻度、食塩などを含めた食生活全体を考える必要があります。
保存料だけを避ければ健康的になるわけではありません。
子どもの食品は「無添加」を選ぶべき?
子どもが食べるものだから、「できるだけ保存料の入っていない食品にしたい」と考える家庭もあるでしょう。
保存料不使用の商品を選ぶこと自体に問題はありません。
しかし、子どもの健康のために必ず保存料不使用の商品を選ばなければならない、ということではありません。
むしろ、
野菜や果物を食べているか
たんぱく質を摂れているか
甘い飲み物や菓子に偏っていないか
食事量は適切か
など、食生活全体を見ることが重要です。
では、保存料とはどう付き合えばいい?
ここまでの内容を、実際の生活に置き換えてみましょう。
① 保存料が入っているだけで食品を避けなくていい
食品表示に「保存料」と書かれていても、それだけを理由に怖がる必要はありません。
何のために使用されているのかを考えてみましょう。
② 「保存料不使用」を選んでもいい
保存料を使っていない食品を好んで選ぶことも、一つの選択です。
ただし、「無添加だから安全」と考えるのではなく、保存方法や期限を確認しましょう。
③ 保存方法を守る
これは非常に重要です。
要冷蔵なら冷蔵する。
開封後は早めに食べる。
長時間室温に放置しない。
保存料の有無より、こうした基本的な食品管理が重要になる場面もあります。
④ 消費期限と賞味期限を確認する
消費期限は、安全に食べられる期限の目安。
賞味期限は、おいしく食べられる期限の目安です。
どちらも、基本的には表示された方法で保存した未開封の商品を前提としています。
開封後は期限だけに頼らず、早めに食べることを意識しましょう。
⑤ 食品全体を見る
保存料だけで食品を評価しないことも大切です。
食品を選ぶときには、
食塩は多すぎないか
糖類を摂りすぎていないか
脂質に偏っていないか
普段どのくらいの頻度で食べているか
なども見てみましょう。
結局、保存料入りと保存料不使用、どちらを買えばいい?
迷ったときは、次のように考えると分かりやすくなります。
| こんなとき | 選び方 |
|---|---|
| 保存料が入っている | それだけを理由に避けなくてOK |
| 保存料不使用の商品が好き | 選んでもOK。保存方法には注意 |
| 数日保存したい | 消費・賞味期限と保存方法を確認 |
| 開封した | 表示を確認し、適切に保存して早めに食べる |
| 健康を考えて商品を比較したい | 保存料だけでなく栄養成分や食べる頻度も見る |
つまり、「保存料あり・なし」で健康的な食品を決める必要はありません。
IKIRU+の結論
保存料は、食品中の微生物の増殖を抑え、食品を安全に保存しやすくするために使われています。
そのため、保存料=できるだけ避けるべきものと考える必要はありません。
一方、保存料が入っているから保存方法を気にしなくていいというわけでもありません。
毎日の生活では、「保存料の有無だけで食品を選ばず、食品全体を見る。そして表示された保存方法を守る」
これを基本にすればよいでしょう。
「無添加」という言葉だけで安心したり、「保存料」という言葉だけで不安になったりするのではなく、何のために使われているのかを理解したうえで食品を選ぶことが大切です。

