病気や入院のあと、運動を再開するときに考えたいこと

病気やけがで入院したあと、「以前より体力が落ちた」「歩くと疲れやすくなった」と感じる人もいるでしょう。
入院中は、病気そのものの影響に加えて、ベッドで過ごす時間が長くなり、体を動かす機会が減ることがあります。
その結果、退院後に筋力や持久力の低下を感じる場合があります。
「早く元の生活に戻りたい」と思う一方で、「どのくらい体を動かしてよいのだろう」と不安になることもあるかもしれません。
大切なのは、焦って以前と同じ運動量に戻そうとしないことです。
病気や入院のあとは、体の回復状態を確認しながら、安全に運動を再開することを考えていきましょう。


入院すると体力が落ちることがあるのはなぜ?

入院中は、普段よりも体を動かす機会が少なくなることがあります。
自宅では歩いてトイレへ行ったり、食事の準備をしたり、買い物へ出かけたりしていた人でも、入院中はベッドで過ごす時間が増える場合があります。
筋肉は、使う機会が減ることで筋力や筋肉量が低下することがあります。
また、活動量が減ると、持久力やバランス能力などにも影響が現れる場合があります。
このように、活動しない状態が続くことで心身の機能が低下することを「廃用症候群」と呼びます。
ただし、入院後の体力低下がすべて廃用によるものとは限りません。
病気の影響や栄養状態、服薬、手術後の回復状況なども関係しています。
入院前より体力が落ちたと感じたときには、その原因や回復の状態を確認することが大切です。


運動を再開する前に体の状態を確認しよう

病気や入院のあとに運動を始める場合、まず確認したいのが現在の健康状態です。
病気の種類や治療内容によって、適切な運動量や注意点は異なります。
たとえば、心臓の病気、呼吸器の病気、骨折、手術後などでは、それぞれ運動を再開する際の考え方が異なります。
そのため、退院時に医師やリハビリテーション専門職から運動について説明を受けている場合には、その内容を確認しましょう。

特に、

運動量に制限があるか。
避けた方がよい動作があるか。
どの程度の疲労まで許容できるか。
歩行補助具が必要か。
自宅で続ける運動が指示されているか。

といった点が重要です。
退院したからといって、すぐに以前と同じ活動ができるとは限りません。
運動を再開する際には、自己判断で負荷を増やさず、病気や治療後の状態に合わせることを大切にしましょう。


まずは日常生活の動作から始めよう

運動を再開するときには、必ずしもウォーキングや筋力トレーニングから始める必要はありません。
体力が低下している場合には、普段の生活に必要な動作そのものが、体を動かす機会になります。

たとえば、

ベッドから起き上がる。
椅子に座って過ごす。
椅子から立ち上がる。
トイレまで歩く。
食卓まで移動する。

といった動作です。
こうした活動を安全に行えることは、退院後の生活を取り戻すうえで大切です。
ただし、体の状態によっては、立ち上がりや歩行に介助が必要な場合もあります。
転倒の危険がある人は、無理に一人で動かず、家族や専門職の支援を受けましょう。
また、医師から安静や動作制限を指示されている場合には、その指示を優先する必要があります。
特別な運動を頑張る前に、日常生活の中で安全に体を動かせることを目指しましょう。


歩く時間や運動量は少しずつ増やそう

退院後に歩くことが許可されている場合には、現在の体力に合わせて歩く機会を増やしていく方法があります。
ただし、入院前に30分歩けていたからといって、退院直後から同じ時間を歩く必要はありません。

まずは短い距離や時間から始め、体調を確認しながら調整しましょう。
たとえば、医師などから特別な制限がなく、短時間の歩行が安全にできる人であれば、

最初は家の中を歩く。
慣れてきたら玄関先まで歩く。
体調が安定していれば近所を短時間散歩する。
少しずつ歩く時間や距離を増やす。

といった進め方が考えられます。
ただし、病気の種類や回復状況によっては、こうした進め方が適さない場合もあります。
運動中だけでなく、運動後の疲労や翌日の体調にも目を向けましょう。
以前できていた運動量を基準にするのではなく、今の体力で安全にできる量から始めることが大切です。


筋力を取り戻すための運動も考えよう

入院によって活動量が減ると、脚の筋力が低下することがあります。
特に、太ももやお尻の筋肉は、立ち上がる、歩く、階段を上るといった動作に関係しています。
そのため、回復状況に応じて筋力を使う運動を取り入れることも大切です。

たとえば、

椅子に座って膝を伸ばす。
座ったまま足首を動かす。
安定した支えを利用して立ち上がる。
手すりにつかまってかかとを上げる。

といった運動があります。
ただし、手術後や骨折後などでは、関節を動かす範囲や体重のかけ方に制限がある場合があります。
そのため、これらの運動を誰でも同じように行ってよいわけではありません。
必要に応じて、理学療法士などに自宅でできる運動を確認しましょう。
また、筋力の回復には、十分な栄養や休息も関係しています。
運動だけでなく、食事や睡眠なども含めて体の回復を支えることが大切です。


焦らず、体調の変化に目を向けよう

病気や入院のあとには、「早く元の生活に戻りたい」という気持ちが強くなることもあります。
しかし、回復の速さには個人差があります。
病気の種類や入院期間、入院前の体力などによっても異なります。
そのため、思うように体が動かなくても、無理に運動量を増やす必要はありません。

特に、

運動中に胸の痛みが出る。
強い息切れが現れる。
めまいやふらつきが強くなる。
動悸が続く。
運動後に極端な疲労が残る。

といった場合には、運動を中止して医療機関に相談しましょう。強い胸痛や呼吸困難などがある場合は、救急対応が必要になることもあります。
また、退院後に急に歩けなくなったり、手足に力が入らなくなったりした場合には、単なる体力低下と考えず、速やかな医療評価が必要です。
回復を急ぐことよりも、安全に活動を続けられる状態をつくることを優先しましょう。


IKIRU+の結論

病気や入院のあとには、筋力や持久力が低下していることがあります。
しかし、焦って以前と同じ運動量に戻そうとする必要はありません。
大切なのは、病気や治療後の状態に合わせて、安全に体を動かすことです。

そのために、

医師やリハビリテーション専門職の指示を確認する。
日常生活の動作から少しずつ活動を再開する。
歩く時間や距離は体調に合わせて調整する。
必要に応じて筋力を使う運動を取り入れる。
運動後の疲労や体調の変化にも注意する。

ことを意識しましょう。
退院後の生活では、以前と同じように動けないことに不安を感じるかもしれません。
しかし、今できることを確認し、必要な支援を受けながら活動を続けることが大切です。

自分で食卓まで歩く。
近所へ買い物に行く。
家族と散歩を楽しむ。
趣味や外出を再開する。

こうした日常生活の目標が、運動を続ける意味になります。
病気や入院のあとの運動は、無理に体力を取り戻すためではなく、自分らしい生活を少しずつ取り戻すためのものです。
体の回復に合わせながら、できることを大切にしていきましょう。