つかまりながらできる安全なバランス運動
「バランスを鍛えるには、何にもつかまらずに立たなければならない」と思っていませんか?
実際には、手すりや安定した机などにつかまりながらでも、体を支えたり重心を移動させたりすることで、バランス能力を使うことができます。
特に高齢者のバランス運動では、難しい運動に挑戦することより、転倒しない環境で安全に続けることが大切です。
つかまっていてもバランス運動になる
バランス運動というと、片脚で立ったり、不安定な場所に立ったりする姿を想像するかもしれません。
しかし、最初から難しい運動をする必要はありません。
安定したものにつかまりながら、
体重を左右に移す。
かかとを上げる。
片方の足を少し浮かせる。
一歩前へ出して戻す。
こうした動きをするだけでも、姿勢を保つために脚や体幹などを使います。
「つかまる=効果がない」ということではありません。
自分の能力に合わせて支えを利用しましょう。
まずは左右への体重移動から
比較的取り組みやすいのが、左右への体重移動です。
安定した机などに手を添え、両足を無理のない幅に開いて立ちます。
そこから、体を大きく傾けるのではなく、右脚へゆっくり体重を移します。
中央へ戻ったら、今度は左脚へ。
この動きをゆっくり繰り返してみましょう。
私たちは歩くときにも、左右の脚へ交互に体重を移しています。
そのため、重心を移動させながら姿勢を保つことは、立ったり歩いたりするためにも大切な動きです。
かかと上げも取り入れてみよう
机や手すりにつかまりながら、両足のかかとをゆっくり上げてみましょう。
無理に高く上げる必要はありません。
上げられるところまで上げたら、ゆっくり床へ戻します。
かかと上げでは、ふくらはぎの筋肉を使うだけでなく、立った状態で姿勢を保つ必要があります。
ふらつく場合は、両手でしっかり支えて構いません。
筋力とバランスは別々に考えるのではなく、一緒に使われることも多いのです。
一歩出して戻る動きも練習になる
次は、机などにつかまった状態で片方の足を一歩前へ出し、元の位置へ戻してみます。
慣れてきたら横方向へ一歩出して戻す方法もあります。
歩いているときには、足を前へ出したり、方向を変えたりしながら体のバランスを保っています。
そのため、一歩出して戻るというシンプルな動きも、日常生活につながる運動になります。
ただし、歩幅を大きくする必要はありません。
小さな一歩を安全に出して、元の位置へ戻れることを大切にしましょう。
支えを減らすことを急がない
運動に慣れてくると、
両手から片手へ。
片手から指先へ。
と支えを少なくしてみる方法もあります。
ただし、必ず手を離せるようになる必要はありません。
「昨日は片手だったから、今日は手を離そう」と難易度を上げ続ける必要もありません。
その日の体調によってバランスは変わります。
少し不安定に感じる日は、再び両手で支えて行えばよいのです。
支えを使うことは失敗ではなく、安全に運動するための工夫です。
IKIRU+の結論
バランス運動は、不安定な状態をつくるほどよいわけではありません。
まずは安定したものにつかまりながら、
左右に体重を移す。
かかとを上げる。
足を少し浮かせる。
一歩出して戻る。
といった簡単な動きから始めてみましょう。
そして最も大切なのは、転倒しない環境をつくってから運動することです。
キャスター付きの椅子や動きやすい家具ではなく、体重をかけても動かない安定したものを利用します。
何にもつかまらずに立てることが、バランス運動の最終目的ではありません。
立つ、歩く、方向を変えるといった日常の動きを、これからも安全に行うために体を使っていく。
そのために、「つかまりながら安全に動く」ことから始めてみましょう。
