高齢になるとなぜ転びやすくなる?

「以前より、ちょっとした段差につまずくようになった」「何もないところでふらつくことがある」
年齢を重ねると、このような変化を感じることがあります。
転倒は、単に「足腰が弱くなったから」起こるものではありません。筋力やバランス能力、視力、歩き方、薬、住環境など、さまざまな要因が重なって起こります。
だからこそ、転倒を防ぐためには、原因を一つに決めつけず、体と生活の両方から考えることが大切です。


年齢とともに筋力が低下しやすくなる

立ったり歩いたりするときには、太ももやお尻、ふくらはぎなど、多くの筋肉を使っています。
年齢を重ねると筋肉量や筋力は低下しやすくなり、さらに活動量が少なくなることで、その変化が進むことがあります。

脚の筋力が低下すると、

椅子から立ち上がる。
階段を上る。
段差を越える。
つまずいたときに踏ん張る。

といった動作が難しくなることがあります。
転倒防止を考えるうえでも、普段から脚の筋肉を使う機会を持つことが大切です。


バランスを立て直す力も変化する

私たちは立っているときも歩いているときも、完全に静止しているわけではありません。
体が少し傾くたびに、足首や脚、体幹などを使って姿勢を調整しています。
年齢を重ねると、こうした姿勢の調整に関係するさまざまな機能も変化します。
たとえば、若いころなら少しつまずいても、とっさに足を出して立て直せたかもしれません。
しかし、その反応が間に合わなくなると、そのまま転倒につながることがあります。
そのため、筋力だけではなく、体重を移す・姿勢を変える・歩くといった動きを普段から行うことも大切です。


見る力や体の感覚もバランスに関係する

安全に歩くためには、筋肉だけを使っているわけではありません。
目で段差や障害物を確認し、足の裏などから地面の状態を感じ、体の傾きを捉えながら歩いています。
こうした感覚もバランスを保つための重要な情報です。
年齢を重ねると、暗い場所が見えにくくなったり、足元の変化に気づきにくくなったりすることがあります。
明るい昼間には問題なく歩けても、夜になると歩きにくく感じることもあるでしょう。
だからこそ、転倒防止では体を鍛えるだけでなく、照明や床などの環境を整えることも重要になります。


転倒の原因は「体」だけではない

転倒というと、「筋力をつければ防げる」と考えがちです。
しかし、家の中にも転倒につながるものがあります。

床に置かれた物。
めくれたマット。
電気コード。
小さな段差。
暗い廊下。
滑りやすい床。
サイズの合わない履物。

体に問題がなくても、こうした環境が重なれば転倒することがあります。
反対に、体力に不安があっても、手すりや照明などを上手に利用することで安全に生活しやすくなります。
「転ばない体をつくる」と「転びにくい環境をつくる」の両方を考えましょう。


薬や体調が関係することもある

ふらつきや眠気、立ちくらみなどがあると、転倒しやすくなる場合があります。
また、複数の薬を服用している高齢者では、薬の種類や組み合わせなどが転倒リスクに関係することもあります。
だからといって、転倒が心配だからと自分の判断で薬を減らしたり、中止したりしてはいけません。
「薬を飲み始めてからふらつくようになった」「立ち上がるとめまいがする」といった変化があれば、医師や薬剤師に相談しましょう。
また、急に歩きにくくなった、強いめまいがある、手足に力が入りにくいなどの症状がある場合には、単なる加齢と考えず医療機関への相談が必要です。


IKIRU+の結論

高齢になると転びやすくなる背景には、一つではなく複数の要因があります。

そのため転倒防止では、

脚の筋肉を使う。
歩いたり体重を移したりしてバランスを使う。
家の中の段差や床、照明を見直す。
自分に合った靴や必要な補助具を使う。
ふらつきなどの体調変化を放置しない。

といったさまざまな対策を組み合わせることが大切です。
そして、「高齢になったら転ぶのは仕方がない」と考える必要はありません。
体の状態に合わせて運動を続け、生活環境を整えることで、減らせる危険もあります。
転倒防止は、「転ばないように動かない」ことではなく、「安全に動き続けられる体と環境をつくる」こと。
これからも歩いて外出し、自分らしい生活を続けるために、できるところから見直していきましょう。