転ばない体と暮らしをつくるためにできること
転倒を防ぐためには、筋力を鍛えればよいのでしょうか。それとも、家の中の段差をなくせばよいのでしょうか。
実際には、転倒にはさまざまな原因が関係しています。
筋力やバランス能力などの「体」の問題だけでなく、靴、照明、段差、薬、体調、生活習慣なども関係します。
だからこそ転倒防止では、「転ばない体をつくること」と「転びにくい暮らしをつくること」の両方を考えることが大切です。
まずは体を動かす機会を保とう
転倒を防ぐために、難しいトレーニングから始める必要はありません。
まず大切にしたいのは、毎日の生活の中で体を使うことです。
歩く。
椅子から立つ。
家事をする。
買い物へ行く。
安全な範囲で階段を利用する。
こうした日常的な活動でも、脚や体幹の筋肉、バランス能力などを使っています。
「転びたくないから動かない」のではなく、安全を確保しながら体を動かす機会を持つことを考えましょう。
筋力だけでなくバランスも大切にしよう
転倒防止というと、スクワットなどの筋力トレーニングが注目されがちです。
もちろん、立つ・歩くための筋力を保つことは大切です。
しかし実際の生活では、歩きながら方向を変えたり、段差を越えたり、物へ手を伸ばしたりします。
そのため、
椅子からの立ち座り。
かかと上げ。
安全につかまりながら行う片脚立ち。
左右への体重移動。
ウォーキング。
など、さまざまな動きを組み合わせてみましょう。
筋力・柔軟性・バランスを一つずつ切り離すのではなく、全身を使うことがポイントです。
家の中を「転びにくい環境」にしよう
どれだけ体を鍛えていても、床に物が散らばっていたり、暗い場所に段差があったりすれば転倒する可能性があります。
特に確認したいのが、毎日よく通る場所です。
寝室からトイレ。
居間から台所。
玄関。
浴室や洗面所。
階段。
実際に歩きながら、床の物、コード、マット、段差、照明などを確認してみましょう。
必要な場所には手すりを設置するなど、環境を整える方法もあります。
「自分が気をつければいい」だけでなく、気をつけなくても危険が少ない環境をつくることも転倒防止です。
靴や体調の変化にも目を向けよう
転倒防止では、運動と住環境だけでなく、普段の小さな変化にも目を向けてみましょう。
以前よりつまずくことが増えた。
歩幅が小さくなった。
靴が脱げやすくなった。
立ち上がったときにふらつく。
外出することが減った。
こうした変化があれば、その理由を考えるきっかけになります。
また、ふらつきや眠気などには体調や服用している薬が関係する場合もあります。
薬について気になることがあっても自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談しましょう。
「転ばないこと」だけを生活の目標にしない
転倒防止はとても大切です。しかし、転倒を恐れるあまり、
外出しない。
階段を一切使わない。
散歩をやめる。
人に会いに行かない。
という生活になってしまえば、活動する機会そのものが減ってしまいます。
転倒防止の本当の目的は、「危険をすべて避けること」ではありません。
買い物へ行く。散歩をする。旅行をする。家族や友人に会う。
自分がしたいことを、できるだけ安全に続けるために転倒を予防する。
そのように考えてみましょう。
IKIRU+の結論
転倒を防ぐために、一つの特別な方法があるわけではありません。毎日の生活の中で、
歩く・立つなど、体を使う。
筋力やバランス能力を使う機会を持つ。
床や段差、照明など住環境を整える。
自分に合った靴を選ぶ。
歩き方や体調の変化に気づく。
こうした小さな対策を組み合わせていきましょう。
そして最も大切なのは、「転ばないために動かない」という生活にしないことです。
転倒防止は、転ばないこと自体がゴールではありません。
これからも自分の足で歩き、行きたい場所へ行き、自分らしい生活を続けるための準備です。
できることから少しずつ、転びにくい体と暮らしをつくっていきましょう。
